文法特急2 急所アタック編 レビュー記事

ご覧いただき、ありがとうございます。

TOEIC対策のリノキア英語スクールです。

今回は、『新TOEIC TEST 文法 特急2 急所アタック編』のレビューをしていきます。

前作にあたる『新TOEIC TEST 文法 特急』のレビューは、以下をご覧ください。

【TOEIC】新TOEIC TEST 文法 特急 レビュー記事

前作が発売されたのが2009年 ― そこからおよそ1年後、続編にあたる『急所アタック編』が発売されました。

前作同様、刊行されてから10年が経ちますが、1度も改訂されることなく、今もTOEIC学習者必携のテキストとして、売れ続けています。

もはや「完成されたテキスト」であるため、改訂を必要としていないと言えるかもしれません。10年前に出たとは思えないくらい、新形式のTOEICにもしっかり対応しています。

世の中にはTOEICテキストがごまんと溢れているわけですが、そのなかでも本当に優れているものは一握りです。書店に並ぶテキストを前にすると、「どのテキストにすればいいのか」で悩む方も多いでしょう。これからTOEIC対策を始めようとしている人だと特にそうです。

僕もカウンセリングにいらした方から、ご自身で選んで買ったテキストを見せてもらったりするのですが、「どうしてそのテキストにしてしまったのだろう」と思うことが少なからずあります。
「どうしてこのテキストを選んだのですか?」とお聞きすると、「タイトルに、自分の目標とするTOEIC600点と書かれていたので……」といった答えが返ってくることが多く、中身はパラパラとしか見なかったという方がほとんどでした。

しかし、たとえ中身をじっくり見たとしても、良いテキストを選ぶのは難しいと思います。
テキストには、しばらく継続して使ってみないと良し悪しを判断できないという性質があるため、10分とか20分とかの吟味ではとても足りないのです。

この記事は、そんなテキスト選びの難しさを少しでも解消するべく、良いテキストに一直線でたどり着けることを目標にしています。また、自分で使ってみて本当に良いと思った『文法特急2 急所アタック編』というテキストを、多くの方に使ってほしいという願いも込められています。

この記事が、みなさんのテキスト選びの参考になれば幸いです。

それでは始めていきます。

 

1. 中身はどんな感じ?

前作では、550点、730点、900点というレベル別のチャプター構成でした。
今作も同じスタイルになっていますが、レベルの分け方にすこしだけ変化があります。
各章は、以下のようになっております。

  • 第0章 迅速かつ正確な攻略法
  • 第1章 まずは550点! 絶対に落とせない 26題
  • 第2章 めざせ730点! 取りこぼしやすい弱点を克服する 32題
  • 第3章 Part6を得意分野に! 自分のペースをものにする 12題
  • 第4章 超えるぞ860点! 難問でも基本は同じ 26題
  • 第5章 とるぞ990点! 力試しに挑戦したい10題
  • 第6章 Review Questions しっかりモノにする 24題

問題数は全部で130問収録されています。
それぞれの質が高いので、本気で取り組もうとすると、けっこうなボリュームです。
これで800円ちょっとという値段は、驚くほど安いです!

550点レベルの第1章は、「TOEICを受けるのなら知っておくべきこと」がぎっしり詰まった問題セットになっています。英文はどれも基本に忠実な文構造で書かれているため、主語と動詞をしっかり把握しながら読むことができれば、問題を解くほうに集中できると思います。もしこの章の英文を読むのに苦労するのであれば、第1章だけを何度も繰り返して、主語と動詞を把握しながら読む練習をするのが良いと思います。基礎ほど大事なものはありませんから、絶対にやっておきたいチャプターです。

730点レベルの第2章は、すこしレベルアップします。問題文では修飾語が巧みに使われるようになり、学習者のリーディング力を試してきます。分詞の理解がけっこう重視されている印象でしたので、そこに不安のある方なら、絶対にやっておいたほうが良いチャプターです。問題そのものは、そこまで難しくなっている感じはしません。TOEIC600点を目指すのなら、解けておきたい問題ばかりですので、「730点」という数字を気にすることなく、解いてほしいと思います。

Part6形式の第3章は、文脈重視の問題で構成されています。動詞の時制、文の流れから判断する副詞、前置詞といった問題の集中トレーニングが積めます。Part6が苦手な人というのは、「途中で文脈の把握ができなくなってしまう」パターンが多いため、そういう方にはこのチャプターが良い練習になるはずです。なお、普通のPart6とは異なり、文挿入問題は入っていません。

860点レベルの第4章は、語彙・文法の使い方を問うものが多いです。接続詞の応用的な使い方とか、基本語彙がどんな前置詞と一緒に使われるかとか、「使えるかどうか」を意識した問題構成になっているのです。僕個人としては、こういう問題は大好きです。やはり「英語は使うもの」というポリシーがあり、使えるように勉強するのが本質だと考えているからです。「TOEIC860点もあるのに英語が使えない」なんて言われたら悔しいですからね。そうならないためにも、TOEIC800点以上を目指すのであれば、TOEIC600点の人でも当然知っているような基本単語や文法を、「使える」レベルにまで引き上げようとする勉強が必要なのです。

990点レベルの第5章は、わりと細かい知識を突いた問題で構成されています。しかしながら、これは僕自身がTOEIC990点を持っているからこそ言えるのですが、この章の問題は、決して「めちゃ難しい」わけではありません。TOEIC990点を取る人にとっては当たり前に解ける問題かもしれませんが、TOEIC860点以上を目指している学習者の方であっても解けておくべき問題だと思います。普段から英語雑誌を読んだり、YouTubeで英語を聞いたりしている身からすると、このチャプターに収録されている問題は「基本事項」です。とても良いところを突いている問題ばかりなので、800点や900点を目指すのであれば解いてほしいと思います。

最後の第6章は、どのレベル帯の人が解いても練習になる問題ばかりです。タイトルは「Review Questions」となっているため、確認テスト的な雰囲気がありますが、最初に解いてしまってもまったく問題ないと思います。むしろ最初に解くことで、自分の弱点も分かって良いのではないでしょうか。新形式のTOEICに出ることが盛りだくさんですので、絶対にやっておきたいマストのチャプターと言えます。

ボリューム満点の130問!
使い込んだ分だけスコアが上がるような良問揃いのテキスト!

 

2. 対象レベルは?

TOEIC300点台~900点台まで、幅広く対応しています

内容がレベル別の構成になっているため、どのスコアであっても信頼して使えます。
ただ、チャプターによっては難しいものもあるので、使うところを選んだほうがいい方もいらっしゃるでしょう。

生徒さんに使ってもらった感じと、自分で使ってみての印象から、以下のような目安ではないかと考えています。

 

TOEIC500~600点以上が目標 ― 1・2・3・6章をまずは重点的に!

TOEIC700点以上が目標 ― 1冊まるごと使い倒しましょう!

 

とりわけ第2章の問題文は、修飾語がわりと多く出てきているため、文の骨格をつかめるかどうかの指標にもなります。第2章の英文がちゃんと読めるのであれば、TOEICの英文はまず読めるので安心してください。もし苦労するようだったら、どのポイントが理解を妨げているのかを突き止めて、そこを克服してきましょう。

それから前作同様、解説がとても分かりやすいです。
また、誤答の選択肢が「なぜダメなのか」まで説明してくれているので、疑問が残ることもないです。こうした学習者を迷わせないための工夫と気遣いが、『文法特急』を良いテキストにしているのだと思います。

「文法をどうにかしたい」と考えているのであれば、現在のレベルを気にすることなく、使ってしまって大丈夫です。
また、「英文が正しく読めているかどうか」を試してみたいときにも、このテキストは役立ちます。自分の指導経験からすると、TOEIC600点レベルの方の読解力には、でこぼこ道を無理やり進んでいるかのような「危うさ」があります。その危ういところを1つ1つ取り除き、スムーズに読み進められるようにしていくことで、リーディングのスコアが伸びていきます。『文法特急』は、その手助けをしてくれます。

オススメとしては、前作の『新TOEIC TEST 文法特急』をしっかりやり込んでから、こちらの『急所アタック編』に進むのがいいと思います。

『急所アタック編』は、まさに英語を正確に読むための急所をついたテキストです。

『文法特急』→『旧急所アタック編』の流れがオススメ

 

3. おわりに ―『文法特急』は不朽のテキスト

繰り返しお伝えしていますが、『急所アタック編』の第2章は、修飾語がちらほらと使われているため、正確に読めるかどうかの試金石となります。

修飾語が把握できているかを試せるような問題がたくさん入ったテキストは珍しいほうなので、この第2章を解くだけでも、『急所アタック編』を使う意義があると考えています。

それから何といっても、「英語は使うものである」という著者・花田氏の気概が見えるのは大きな魅力の1つですね(※ 花田氏がそう言ったわけではありません。このテキストに収録されている問題から、僕が勝手に読み取っただけです)。

特に860点レベルの第4章の問題は、それが如実に出ていると感じました。
一見すると簡単な単語で作られた問題なのに、その単語の使い方が分かっていないと解けないというのは、「使うこと」を目標にしているからこそ突ける「急所」なのだと思います。

TOEICスコアはもちろん大事だけれども、その先のレベルまで高めていきたい ― そんな思いがあるのであれば、ぜひ『文法特急』を使ってほしいです。

刊行されてから10年が経ちますが、TOEICが新形式になってからも変わらず通用するのは、この『文法特急』シリーズが英語の核心に触れているからなのでしょう。

今回の記事が、みなさんのテキスト選びの参考になれば幸いでございます。

それではご覧いただき、ありがとうございました。