TOEIC公式問題集レビュー記事 Vol.1

ご覧いただき、ありがとうございます。TOEIC対策のリノキア英語スクールです。

毎年1~2冊ずつ増えていくTOEICの公式問題集は、学習者のマストアイテムです。
僕はTOEIC講師として仕事をしていますが、生徒さんには必ず公式問題集を使って勉強してもらっています。
僕自身もすべての公式問題集を購入し、テストのたびに解いて活用しています。

そんな公式問題集は、2020年4月現在で7冊も出版されています。
長年TOEICをやっている人からしたら、大した量には感じないかもしれません。
でも、TOEICを始めたばかりの人からすると、7冊という数はとても多いのです。

事実、「TOEICの公式問題集は、どの色を選ぶのがいいですか?」という質問をする生徒さんは多いです。
ほかにも、「種類がたくさんあって、どれを買っていいのかわからない」や「問題集ごとに何か違いはあるのですか?」といったことを仰る生徒さんが多くいます。

この記事では、そんな方々が自分に合ったTOEIC公式問題集を選べるように、テキストを1冊ずつレビューしていきます。
レビューでは、僕の個人的な意見を書いている箇所もあれば、レッスンで使用して生徒さんに解いてもらったときの出来や感想を参考にしている箇所もあります。

このレビュー記事 Vol.1では、初期の3冊をレビューしていきます。
以後の問題集は、続編にて扱いますので、そちらも参考にしてくださればと思います。
ご自分に合った公式問題集をバシッと選ぶのに役立てていたただけると幸いです。

関連記事は、こちらを参照ください。

【TOEIC】公式問題集レビュー記事 Vol.2

【TOEIC】公式問題集レビュー記事 Vol.3

TOEICテスト 公式問題集 ―新形式問題対応編―(2016年2月発売)

2016年5月から導入されたTOEIC新形式問題に対応の1st公式問題集

ちょっと風変わりなところもあるけれど、TOEICの要素が詰まっています。

リスニング

【Part1】

テスト1は標準レベルです。
今となっては懐かしい単語が出てきます。
旧型式の傾向から抜け出せていないような感もあり、まさに過渡期という印象です。

「写真に写っている人物の性別がわかりにくい」と、僕の生徒さんが言っていたことがありました。
人物が男か女かを見分けさせるようなテストではないのですが、よく見てみると、「確かに」という感じでした。
ちょっと反省したのか、以後こうした問題は見られなくなったと思います。

テスト2は、すこし易しめでした。
テスト1よりは簡単です。
使われている単語にクセがないので、すっきりしています。

600点レベルの方だと、4~5問の正解が出せると思います。
難しいと感じるとしたら、おそらく4番か6番でしょう。
消去法も有効なので、積極的に使えるようになりたいところです。

復習しやすいレベル設定なので、初心者がディクテーションやシャドーイングを始めるのにも適しています。

【Part2】

テスト1は易しめの設定でした。
疑問詞・付加疑問・否定疑問・平叙文の割合は、このころから変わっていないようですね。
直球タイプと変化球タイプも、お馴染みという印象。

WhereとWhenで迷わせたり、ダミーの選択肢でうまく引っかけてくるのも今と同じです。
クセがなく、極端に難しすぎるものがないので、練習用にピッタリのレベルです。

ディクテーションやシャドーイングの入門としても使いやすいので、Part2対策のメイン・テキストとして活躍してくれそうです。

テスト2は標準的なレベルでした。
テスト1の難易度より上です。

テスト1と比べると、テスト2のほうが内容を理解する必要のある問題が多かったです。
キーワードやテクニックに頼らず、リスニング力で解けるかが試される問題設計でした。

重要なフレーズもテスト2のほうが多いので、学びの多さではテスト2のほうがいいです。
TOEICを始めたばかりの人なら、テスト1で基礎リスニング力を養い、テスト2で学習の成果を確認しつつ、新しいことを覚えていくという流れになるでしょうか。

【Part3】

テスト1は標準的でした。
易しめ5つ、普通5つ、難しめ3つ、という割合です。
易しいものは、キーワードを拾うだけで正解できるので、必ず正解したいです。

後半に進むにつれて、難しいのが増えていく感じでした。
全体的にスピードは速くなく、聞きにくい発音の人もいません。
内容を理解するという点で、難しさを感じると思います。

また、3人スピーカーの問題が1つしかありませんでした。
現在は2問出ることが多いです。

テスト2も標準的でした。
テスト1よりは若干易しめに設定されていそうです。
といっても、ほとんど変わりありません。
内容を理解しているかどうかを試すような問題セットでした。

人によっては、テスト1よりスピードが速く感じる問題が多いかもしれないです。
その反面、セリフの意図問題は、テスト2のほうが解きやすいと思います。
3人スピーカーの問題が1つしか無かったのはテスト1と共通でした。
テスト1,2ともに3人スピーカー問題が1題ずつなのは、この問題集だけです。

【Part4】

テスト1は難しいです。
半分以上が難しい問題なので、かなり苦戦すると思います。
とくにセリフの意図問題が含まれているのは難易度マックスでした。

単語を拾って正解を見つける方法があまり使えません。
内容をしっかり聞き取って答える必要があります。
そういう点では、上級者が実力を試すのに役立つ問題です。

TOEICを始めたばかりの人は、解かないほうがいいかもしれません。
ほかの問題集を使うほうがいいと思います。
Part3と違い、復習がしづらいレベルのものばかりです。
負荷をかけた学習には向いていますが、根気が要ると思います。

テスト2も難しめです。
テスト1ほどではないですが、それなりの難易度でした。
言い換え問題が多い気がしますね。
単語を拾って解ける問題が少ない気がしました。

これは今とは違う傾向です。
今のほうがナレーターのスピードは上ですが、キーワードを拾えば正解できる問題は多いです。
「内容重視」という意味で、特徴的な問題集です。

それから気になった点が1つあります。
普通ならPart3,4は、話の流れに沿って設問が並んでいるのですが、その順番が入れ替わっている問題がありました。
つまり、放送を聞きながら1問目→2問目→3問目と解き進められるのが普通なのですが、1問目→3問目→2問目という順番で解答部分が放送されるものがあったのです。

単なる作問ミスなのか意図的なのかは分かりませんが、かなり珍しいタイプであることは間違いありません。
ずっと公開テストを受け続けていますが、この問題集のPart4は、2019年以降の公開テストとは、ちょっと傾向が違うと思います。

TOEICとしてではなく、リスニングテストの力試し・内容理解のレベルチェックとして演習に使うのがいい問題セットだと思います。

 

リーディング

【Part5】

品詞・代名詞などの今でも頻出の文法はもちろん、both A and B や either A or Bといった、現在(2020年)のトレンドからは外れてしまっている問題も収録されています。

テスト1はレベル高めです。
前置詞問題がやっかいで、本文が読めていないと解けないものが多いです。
ほかにも、品詞問題や、現在分詞・過去分詞の問題も、体系的な知識が揃っていないと自信をもって答えられない問題が入っています。

もう4年も前に出された問題なのですが、レベルはけっこう高めです。
新形式1発目ということで、気合が入っていたのでしょうか。
受験者を甘やかさない問題設計で、いい練習になります
とりわけ設問よりも問題文そのものが難しめなので、しっかり読み込んで復習したいですね。

テスト1の1問あたりの平均語数は17.2語でした(空所を1語とカウントした場合)

 

テスト2は、テスト1に比べると解きやすいと思います。
でも決して簡単ではないので、舐めずに取り組んだほうがいいです。

特徴としては複合名詞の問題が多めだったことですね。
現在は1セットで1問出るかどうかですが、4年前の問題集では頻出事項みたいです。
とはいえ良問ぞろいですから、もし間違えたり、たまたま正解したりしたものは要復習です。
とりわけ語彙問題はいいところを突いてくるので、上級者でも楽しめると思います。

テスト2の1問あたりの平均語数は17.1語でした

【Part6】

Part6はテスト1,2ともに同じくらいのレベルです。
簡単なセットもあれば、難しいセットもあるという感じですね。

特徴的だと思ったのは「文挿入問題」です。
これは2016年の新形式から導入された形式ですが、テスト1,2ともに段落の最初か最後にしか文挿入問題がありませんでした
現在は段落の途中であっても文挿入問題が来ることがあります。
初期の段階では、そういう設計だったのかもしれませんね。
ちなみに、段落の始めや終わりに来るタイプの文挿入問題が苦手という方(けっこういらっしゃる)は、この問題集で練習するといいですね。

もう1つ気になったのが、仮定法過去が出題されていることです。
今や仮定法は1年に1回出るか出ないかの「レア問題」なのですが、1st公式問題集には当たり前のように載っています。
現在でもPart7の問題文では普通に出てくる文法なので、上級者はぜひ正解したい1問です。

【Part7】

テスト1は難しめです。
記事問題とレター問題がとくに難しいです。
正直、難しすぎるのではないかと思えるくらいでした。
現在ではほとんど見ることのない語彙やイディオムが使われており、それをしっかり勉強したところでTOEICのスコアアップに直結するのだろうか、と疑問になるくらいです。
もちろん英語力という視点で見ればプラスにはなりますけれどね。
「新形式ってこんなに難しいのか」と、ビビらせる意図でもあったのでしょうかね。
高得点者が腕試しにやってみるのが良さそうです。

そんな2,3個の激ムズ問題を除いてしまえば、あとは定番問題や、珍しいタイプだけれども解いていて楽しい問題ばかりです。
「チャット問題は、人物たちの職業を意識する」とか、「求人広告では求められるスキルをすべて把握する」とか、TOEICでは当たり前のことを教えてくれる問題なので、この辺は親切だなと感じました。
もっとも現在は設問も多様化してきて、定番の法則が当てはまらない場合もあります。
やはり練習用として使うのが良さそうですね。

テスト2は標準レベルです。
テスト1よりは解きやすいと思います。
ただ、レター問題は相変わらずの難しさです。
読解のトレーニングで解くのがいいですね。
それにしても、どうしてこんなに難しくしてしまったのだろう?
今でもレター問題は難しいことが多いですが、ここまで厳しいのは稀ですからね。

対して、チャット問題(とくに小問4つのほう)が良問だと感じました。
良問というのは、今でもよく見るタイプだから練習になるという意味でですが、把握しなければいけないポイントをしっかり学べます。

それからトリプルパッセージの問題の1つに、芸術家が登場するものがありました。
TOEICでは芸術家がたまに出てきて、作品についてあれこれと説明を読まされることになります。
そして、そうした芸術家が出てくる問題というのは、難しい傾向にあります。
この問題集も、ご多分に漏れず、という感じです。
Part7で時間が足りないという人は、「芸術家が出てきた問題は飛ばす」という意識づけをしてみるといいかもしれません。

しかし、芸術系の問題は難しいってのは最初から変わっていないんだなあ。

リーディングパートをまとめると、「一昔前のTOEICにはよく出ていた」問題が盛りだくさんです。
TOEICをずっと受けている人は、懐かしい気持ちになれるかもしれません。

公式TOEIC Listening&Reading問題集1(2016年10月発売)

なぜか前作とまったく違うタイトルがつけられた2nd公式問題集

2冊目なのに「1」と番号が振られているのも謎ですが、中身は非常に良いです。

リスニング

【Part1】

テスト1は標準レベルです。
一部、初めて聞くような単語があるかもしれませんが、消去法が使えれば問題ありません。
それを除けば、いたってよくある問題です。

ディクテーションやシャドーイングで覚え込むくらい繰り返し復習することで、いつでもPart1を全問正解できる実力がつけられると思います。

テスト2も標準レベルです。
1,2問だけ難しめのが入っていますが、残りの問題は解きやすいです。
テスト1と同じくらいの正当数になるのではないでしょうか。

和訳を読んで英訳できるくらいまで復習できるといいです。
1文がちょっと長いと感じる場合でも、自分で組み立てることができれば、意味がスッと入ってくるようになります。

【Part2】

テスト1は易しめです。
素直な問題が多かったという印象でした。
たとえ全部聞き取れなくても、聞こえた箇所と、選択肢を吟味すれば、正解にたどり着けるように作られていると思いました。

WhereとWhenで迷わせる問題もなかったので、解きやすいです。
聞きなれない固有名詞もほとんどありません。
TOEICを始めたばかりの人にとって、ピッタリな問題レベルだと思います。
ディクテーションやシャドーイングをやって、完璧に仕上げたいですね。

テスト2は難しめです。
テスト1とは違い、ナレーターのスピードが速いと感じました。
それから1文が長い問題がちょくちょくあって、慣れていないと苦戦します。

中盤~終盤にかけてが、レベルが高めです。
序盤は基本的な問題なので、ここでしっかり正解したいところです。
難しいものは本当に難しいので、迷いすぎないように気を付けましょう。

テスト1とは違う正解数になるのではないかと思います。
あるいは、勘で解いた問題の数は、こちらのほうが多いのではないでしょうか。
けっこう難しい部類の問題セットなので、ハイスコアを目指す人はしっかり復習したほうがいいです。

600点を目指す人は、テスト1から始めるのがいいと思います。
700点以上を目指す人は、テスト2までしっかりやり込みましょう。

【Part3】

テスト1はやや易しめというレベルです。
極端に難しい問題がないので、初心者でも安心して解けます。
キーワード重視のものと内容重視のものの比率は、前作と大差ありませんが、内容重視の問題のレベルは、こちらのほうが解きやすいです。
パラフレーズに気づくための練習になるので、非常にいい問題セットだと思います。

3人スピーカー問題は、1つだけでした。
グラフィック問題は2つで、両方とも標準レベルです。
意図問題は3つありますが、いずれも重要ポイントの理解度を試す良問です。
全体的にクセのない、素直な問題セットでした。

テスト2はやや難しめでした。
ナレーターのスピードがテスト1よりも速かったです。
それからパラフレーズの語彙レベルが高めでした。

3人スピーカー問題は2つあります。いずれも難しかったです。
グラフィック問題は2つで、いずれも解きやすいほうでした。
セリフの意図問題は3つあり、けっこうハイレベルでした。
上級者はテスト2から始めていくのが良さそうです。
TOEIC初心者は、テスト1から始めて、基礎力をつけていくのが良いです。

ご自身のレベルに応じて、問題を使い分けましょう。

【Part4】

テスト1は易しめです。
ナレーターのスピードは普通~ゆっくりでした。
キーワード重視の問題が大半を占めているので、キーワードが聞こえていたら、正解数がかなり増えるはずです。

内容重視の問題も、総じて解きやすいものばかりです。
前作と比較すると、びっくりするくらいの易化でした。
問題文の内容も、身近なものばかりなので、取っかかりやすいです。
スピードがそこまで速くないので、音読・オーバーラッピング・シャドーイング・暗唱といった、Part3,4で実践したい学習法をスタートするのに最適です。
600~700点を目指す方は、テスト1のPart3,4をメイン教材にすると良いかもしれません。

テスト2は普通~やや易しめという感じです。
テスト1よりは難しいと思います。
ナレーターのスピードも速いですし、パラフレーズの語彙もすこし高度なものがありました。
ただ、キーワードを拾う問題は解きやすいので、正解数はテスト1とそこまで変わらないかもしれません。

難しいのはセリフの意図問題です。
2問ありましたが、両方ハイレベルでした。
対照的に、グラフィック問題は3つとも解きやすいです。
600点以上を狙う人は、全問正解を狙いたいところです。

ナレーターのスピードが速いため、初心者がオーバーラッピングやシャドーイングをするのなら、テスト1のほうが適していると思います。
テスト1が余裕かなと思ったら、テスト2でやってみましょう。
内容は同じくらいのレベルでありながら、スピードだけがちょっと速くなっています。

 

リーディング

【Part5】

テスト1は基礎的な問題が多いです。
前半~中盤にかけては基礎的な問題が多いので、得点がしやすいです。
600点~700点を狙うのなら、120番までに7~8割くらいの正答率が欲しいところですね。

中盤まででも難しい問題は少しありますが、終盤の120以降は難易度が急に高くなります
前置詞+動名詞や、分詞構文、現在分詞・過去分詞の使い分けなどの問題があるので、高い文法知識が要求されます。
そこに加えて、語彙問題のレベルも相当なものでした。
全問正解は難しいかもしれません。
900点レベルの人が2~3ミス、800点レベルの人が6~7ミスくらいかと。
600点レベルの人だと6~7割の正答率になるような調整だと思いました。

テスト1の1問あたりの平均語数は15.2語でした

 

テスト2も易しめでした。テスト1以上に簡単です。
終盤になるにつれて問題文は難しくなるのはテスト1と共通でした。
ただ、問題の難易度も上がるかというと、そうでもありません。
品詞問題の文章はとくに難しいなと思いましたが、ヒントがちゃんとあるので、正解を選ぶのには困らないと思います。
前文を読まずとも答えが選べるという、典型的な品詞問題ですからね。
その一方、同じ品詞問題でも、名詞の単数複数を判断させるものもあるので、それは本文をちゃんと読まなければいけません。
そこに引っかからなければ、かなり正解できると思います。

本当に難しいのは2,3問だけなので、900点レベルの人なら全問正解が狙えるはずです。
600点レベルの人でも7割は確実に取りたいところです。

テスト2の1問あたりの平均語数は14.9語でした

前の問題集と比較すると、2語くらいの差があります。
これをPart5の30問分にすると、約60語の差です。
公式問題集(青)と(赤)では、3~4問分くらいの語数の差があるということです。

【Part6】

テスト1は、記事問題を除いては標準レベルだと思います。
標準というのは、600点レベルの方が10問(16問中)正解できるくらいです。
それ以外のレベル高めの問題をいくつ正解できるかで、700点、800点とスコアが変わっていきます。

テスト1だと記事問題が難しかったです。
語彙と文法問題は易しめなのですが、時制問題と文挿入がやっかいでした。
とくに時制問題は難しく、キーワードがないため、文脈で選ぶしかありません

それから珍しかったのが、Part6だけの中に、関係詞の問題が2つも出ていたことです。
しかも関係代名詞と関係副詞の両方とも。
初代には関係詞の問題は1つもなかったので、ここぞとばかりに出題してきましたが、そこまで偏らせなくても……という感じです。

なお、この問題集から、段落の途中であっても文挿入問題が出るようになりました

テスト2は、全体を通して難しいです。
簡単に正解できるのは、4,5問くらいしかないと思います。

特徴的なのは時制問題でした。
これがどれも難しめです。
いわゆる、agoやnext weekのようにキーワードを見つけるタイプだと楽なのですが、テスト2では文脈重視での作問なので、ちゃんと読まないと選べません。
高得点の人であっても、ちゃんと読んでも迷うレベルだと思います。

そこに加えて、文挿入問題もレベルが高めでした。
一部、単語が難しいというものもありますが、何よりも文脈重視の度合いが高いのがポイントです。
なんとなくで選ぶと、けっこう間違えるレベルです。

最後に、語彙問題もなかなか難しいです。
「難しい」しか言っていない感じですが、実際のそうなのだから仕方ありません。

Part5が簡単なだけに、テスト2のPart6では苦戦する人が多そうです。

【Part7】

テスト1は易しめレベルでした。
難しいと感じる問題は、全体を通して少ないと思います。
前作と比較すると、明らかに簡単になっている問題でした。
とくにダブルパッセージ問題は解きやすいです。
600点台の方でも8割以上は正解できる難易度だと感じました。

定番問題もしっかり収録されていることに加え、意表を突いた問題も入っているので、TOEICを始めたばかりの人が練習に使うのに良い問題セットです。
気軽に解きつつ、細かく復習するのに適しています。

600点を目指す人は、この問題からスタートして、基礎力をつけていくのが良いかもしれません。

テスト2は難しめでした。
テスト1とは全然違います。
600点台だとかなり苦戦すると思います。
800点台でも、理解して解けるという手ごたえは感じられないかもしれません。

特に難しいのがトリプルパッセージでした。
それからシングルパッセージにもハイレベル問題が含まれています。
600点レベルだと復習にも手こずるかもしれないので、無理にやらなくてもいいのではないかと思います。

テスト2は、上級者が練習をするのに良いでしょうね。
1冊の問題集で、これだけレベル差があるのもやっかいですが、どんなレベルの人にも対応しているという意味では、TOEICらしいのかもしれません。

公式TOEIC Listening&Reading問題集2(2017年2月発売)

前作から、わずか4ヶ月後に登場

難しさを大幅にアップさせた問題で、油断した学習者に喝を入れます。

リスニング

【Part1】

テスト1は、やや難しめです。
600点~700点台だと、4~5問正解くらいが目安でしょうか。
そもそも何と言っているのかわからない選択肢もあれば、巧妙に作られたダミーの選択肢が受験者を惑わせることもあります。

おそらく勘で解く問題がいくつかあると思います。
そうした問題をきちんと復習しておくことが、この問題集では大事になります。

テスト2も難しめです。
後半3問がけっこう難しいと思いました。
ダミーの選択肢も惑わせてきます。

難しいPart1というものを体験するのには良い問題セットです。
外れの選択肢も含めて、英文をよく見直していくと、写真のどの部分が問題にされるのかが推測できるようになってきます。
また、自分で選択肢が作れるくらいになると、さらに良いです。
そこまでPart1を深められれば、難しい問題でも落とさなくなるでしょう。

【Part2】

テスト1は、やや難しめです。
内容はわかるけれども、選択肢から正解を見つけられない問題があると思います。
この問題集のテスト1の特徴はそこで、ダミーの選択肢が惑わせてきます。
Part1と同じですね。

序盤~中盤は基礎的なものが多いので、ここで正解数を稼ぎたいです。
対して中盤~終盤では難易度の高い問題が増えます。

テスト2も難しめです。
テスト1よりも若干難しいと感じました。
質問文の内容が難しいものと、変化球タイプがキレキレで難しいものと両方あります。
とりわけテスト2は、変化球タイプの問題の難しさが特徴的でした。

「なるほど、そういう応答もあるのか」と学べると、Part2の正解数が伸びると思います。
逆に、「そんな応答って実際にする?」みたいになってしまうと、TOEIC学習はつまらないものになります。
TOEICが必要でないのなら、楽しめる学習教材に切り替えるのも大いにアリです。
テスト2の問題は、ひねりが効いているものが多いので、好き嫌いも分かれそうだと思いました。

【Part3】

テスト1は、やや難しめです。
序盤のうちは簡単に解けるものがあるものの、中盤~終盤では、そもそも話の内容がつかめないという感想を持つ方がいるでしょう。
しっかりスクリプトを読んで、TOEICに出題されるパターンを押さえておきたいです。

とりわけ激ムズというレベルはありません。
しかし、各問題とも難しめの問題が1~2個あるので、3問すべて正解できるものは、そこまで多くないのではないでしょうか。
このレベルのPart3を1~2ミスでクリアできれば、満点が取れることでしょう。

3人スピーカー問題は2題あります。
両方とも、やや難しいレベルです。
セリフの意図問題は3問です。
1つはかなり難しく、残りの2つはイメージが浮かんでいれば解答できます。
グラフィックは2題です。
簡単ではないので、勘で正解した場合は、ちゃんと復習をしましょう。

テスト2も、やや難しめです。
会話内容がかなり難しめなのが何題かあります。
序盤はキーワード問題が多いので、単語を拾えれば正解が稼げるはずです。
No.50からはレベルが高くなっていきます。
内容がわかっていないと解けないものが増えてくるので、差がつくところでしょう。
900点を超える方でも、2~3問は間違えそうです。

3人スピーカー問題は2題あります。
テスト1,2ともに3人スピーカー問題が2題ずつなのは、このテキストが初めてです。
セリフの意図問題は2問です。
両方とも、簡単には正解できません。
グラフィックは3題です。
どちらかというと難しめです。
理解度を試してくるような問題でした。

【Part4】

テスト1は普通レベルです。
これといって歯が立たないような難しいものはありません。
キーワードを拾えば解ける問題が多いので、解きやすいかもしれません。
600点台の方なら7割くらい正解できると思います。

セリフの意図問題は2問で、片方が難しかったです。
グラフィックは3問で、簡単でも難しくもありません。
700点以上を狙うのなら3問とも正解したいです。
あとは言い換えされている問題でどれだけ正解できるかです。
どんな単語が、どんな単語で言い換えられているのかを知っておくのも重要です。
TOEICにはパターンがあるので、復習して、それを覚えていきましょう。

ここまでPart1~Part3まで難しめの問題が続いていましたが、最後に解きやすいセットが来ています。
本番のTOEICもこういう流れはよくあることで、難しくて分からないからといって、途中で諦めてはいけません。
難しい問題は、全体の正答率が下がるので、間違えてもダメージが大きくありません。
対して普通レベルだと、多くの人が正解してくるので、間違えてしまうと大きな痛手です。
戦意喪失した状態だと、テスト1のPart4みたいに解きやすいものでも落としがちになります。
最後まで1つでも多くの正解数を狙っていきましょう。

テスト2も普通レベルです。
テスト1よりは少しだけ難しいと思います。
ただ、激ムズというレベルのものはないので、練習に使いやすいです。
オーストラリア人男性がナレーターの問題が難しめだと感じます。

セリフの意図問題は3問あり、難しめです。
600点目標ならば、無理に解かなくても良いと思います。
ここで時間を消費して、次に備える時間を失うほうが怖いですからね。
グラフィック問題は2問で、両方とも標準的です。
600点以上が目標なら、2つとも正解したいです。

キーワードを拾って答えを選ぶ問題が半分以上あるので、まずは重要な単語をしっかり拾うところから戦略を作っていくべきだと思います。
とりわけPart4は、Part3よりも単語を拾って解く問題が多いですからね。
リスニング力がつくまでは、内容がわからないからといって悲観する必要ありません。
聞こえた単語を参考にして答えを選び、内容を推測していきましょう。

 

リーディング

【Part5】

テスト1は難しいです。
品詞問題ですら、単純に解けるものが少ないです。
語彙問題や文法問題も難しいのが多いです。
単なる訳だけでなく、使い方まで知っていないと解けないものがあります。
訳だけを覚えていた人は、学習の甘さを突き付けられるかもしれません。

それから特徴的なのは、動詞の語法、自動詞・他動詞をちゃんとわかっているかを試す問題が目立ったことです。
動詞とセットになることが多い副詞も、重要ポイントとなっていました。
どんな単語とセットになることが多いのか(コロケーションと言います)まで覚えておくと、解ける問題がぐっと増えるはずです。

まとめると、動詞と副詞がフィーチャーされた問題セットという印象です。

テスト1の1問あたりの平均語数は14.9語でした

 

テスト2も難しいです。
テスト1と変わらない難しさだと思います。
高得点を持っている人でも、所見で全問正解するのは難しいでしょう。

とりわけ、品詞問題を簡単に解かせてくれません
もうちょっと単純に解けるものがあってもいいと思うのですが、そこが難しめと思わせるポイントですね。

それから、テスト1と被っている問題が数問あったので、ちょっと偏っているなと思いました。なにか意図でもあったのだろうか、と勘繰ってしまいます。

前作に続いて、句動詞の問題が出ていました。
このタイプは、意味で覚えていることが少ないので、文脈で推測して解く方が多いでしょう。
使われている単語は簡単なのですが、それだけに考えることが多くて難しいですね。

テスト2の1問あたりの平均語数は15.9語でした

【Part6】

テスト1は標準的なレベルの問題でした。
文法問題と語彙問題で難しいのがありましたが、解答に必要となる理屈や根拠をしっかり覚えることができれば、次回以降の問題演習にも活かせます。
復習する価値が大いにある問題だと思いました。

また、文挿入問題が、キーワードを根拠するタイプと、文脈判断タイプの2つが混じっていて良かったです。
文挿入問題は、代名詞や指示語に着目するだけで簡単に解けてしまうものがけっこうあるので、それを体感できる良問でした。

テスト2は、やや難しめの問題です。
テスト1は、知識の有無を問ううえでの難しさがありましたが、テスト2のほうは英文の内容がわかりにくいという難しさがあります。
おそらく139-142の問題だけが分かりやすくて、残りの3つは内容がつかみにくいと思います。

このせいで、理解して解けている感覚が薄くなります。
復習する際は、把握できなかった箇所をよく見直してください。
個人の経験を踏まえると、テストで間違えるのは、「何となくで選んだもの」です。

「何となく」で解くのが少なくなればなるほど、スコアは上がっていきます。
TOEIC満点に必要なのも、この「何となく」をゼロにすることです。
テスト2の問題は、理解して解けているかを試すのに適した問題でした。

【Part7】

テスト1は、かなり難しいです。
シングルパッセージから容赦ないため、明らかに難易度が違います。
後半に進むにつれて、徐々に難しくなっていく感じがしました。
最後のトリプルパッセージに至っては、内容が複雑に入り組んでいるため、文書間のつながりを見出すのに一苦労します。

しっかり読み込まないと、正解にたどり着くことができません。
そういう点では、理不尽な難しさではないのが良いです。
カタカナ語をちゃんと理解しているか、とか、設問をしっかり読んで解答しているか、という疎かにしがちなところをハッと気づかせてくれるような問題設計でした。

600点レベルだと、1人で復習するのは大変かもしれません。
TOEIC講師などに質問したり、解説してもらったりしながらのほうが効率が良さそうです。
そういう意味では、上級者向けの問題ですね。

テスト2も難しめでした。
テスト1ほどではないですが、前作と比べると明らかに難しいです。
簡単に読める文書が少ないのが特徴でした。

シングルパッセージの記事問題は、固有名詞がたくさん出てくる典型例でした。
内容も、ひねりが効いているので、把握するのが大変です。

マルティプルパッセージは、テスト1よりかは解きやすいですが、それでも中途半端な理解だと跳ね返されます。
リーディング全体を通して、時間を消費させる問題が多いので、そこが最大の難所かもしれません。

この問題集のリーディングは、テスト1,2ともに心して取り掛かるべきです。
中途半端に解いて、よくわからない点をたくさん残したまま終わらせてしまうのは最悪です。
解くなら、分からない点は1つもない状態になるまで仕上げましょう。
そこまでできる自信がないうちは、手を出さないでおいたほうが良いと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

TOEICを始めたばかりで、とりあえず600~700点を目指したいという方は、『公式TOEIC Listening&Reading問題集1』をオススメします。

この問題集のテスト1から始めて、基礎力をつけていきましょう。
リスニングは、音読・リピーティング・ディクテーション・口頭での日→英訳・オーバーラッピング・シャドーイングなどの学習法を実践しながら、2週間~1ヵ月くらいかけて、テスト1をみっちりとやり込んでいくのが良いです。
リーディングは、解いてからは知らない単語を覚えたり、訳をチェックしたりして、精読していきましょう。
よくわからない点を1つ1つ潰して、ゼロになるまで読み込むのがいいです。
もし単語が足りないと感じたら単語帳を導入してもいいですし、文法が弱いと思ったら文法問題集を組み込みましょう。
自分に足りないところを浮き彫りにして、克服していくことが大事です。
独りでの判断が難しい場合は、TOEICに詳しい人に相談してみるのが良いと思います。
テスト1の復習が完了したら、より難しいテスト2に挑戦してみてください。

すでに600~700点を達成していて、さらに上のスコアを目指したいのであれば、『公式TOEIC Listening&Reading問題集2』がオススメです。
テスト1,2ともに難易度が高めなので、「根拠をもって答えを選べたかが大事になります。
根拠の弱いところは、本番でも間違える可能性が高いです。
また、根拠の弱いところは、自分の理解が及んでいない箇所でもあります。
足りない点を発見し、克服していってください。

あらゆる公式問題集が使い終わって、さらになお問題が解きたいという熱心な方は、『TOEICテスト 公式問題集ー新形式問題対応編ー』を使ってください。

ちょっと毛並の違うところはありますが、問題演習を積むという意味では使えます。
ただし、TOEICを始めたばかりの人が使うのにはオススメしません。

以上、公式問題集レビュー記事 Vol.1でした。

続編もよろしくお願いします。