【TOEIC 文法特急 レビュー】

ご覧いただき、ありがとうございます。

TOEIC対策のリノキア英語スクールです。

今回は、『新TOEIC TEST 文法 特急』のレビュー記事です。

本のタイトルに「新TOEIC TEST」とありますとおり、この本はもともと旧形式のTOEICに向けて作られています(※ 新形式向けのテキストには「TOEIC L&R TEST」と書いてあるので、違いはわかりやすいです)。

旧形式向けだから内容も古いかというと、まったくそんなことありません。
むしろ新形式のTOEICにも、しっかりと対応しています。
新しいテキストに淘汰されることなく残り続けているのが、その何よりの証拠です。
出版されたのは2009年で、そこから1度も改訂されていないのですが、それでも新形式のTOEICに通用するという点が、このテキストのずば抜けてスゴイところなのです。

また、僕がこのテキストで1番好きなところが、著者のTOEIC学習に対する姿勢です。
TOEIC用テキストだから、TOEICに使えるかどうかという点に意識を向けがちになりますが、著者である花田徹也さんは、「英語は使うもの」という姿勢で、このTOEICテキストを書いているように思うのです。

それが具体的に伺える箇所を、引用します。

単語の意味だけを単体で覚えていても、英語は使えるようにならないわけで、TOEICでもその単語を使いこなす能力がまさに求められています。(本書 p236)

 

僕はこの一文にしっかりとアンダーラインをしており、自分がTOEIC指導をする上での「もっとも大事なこと」として掲げています。

やはり英語は使えるようになるために勉強するものです。
テストで目標スコアを獲得することは、その長い道のりを歩み続けるのに役立つマイルストーンにはなりますが、最終ゴールではありません。
今はそれが最終ゴールに見えているとしても、いったん達成すると違った目標が出てきて、またその先を目指すようになるのです。

そうやって努力してテストで目標を達成したときの喜びは大きいです。
でも、英語が使えたときの喜びは、それ以上に大きいのです。

僕はそう思っているので、「英語は使うためにある」という考えをベースにして、TOEIC指導をしています。

話を戻すと、この『新TOEIC TEST 文法 特急』からは、著者が何を大事にしながらテキスト作りをしたのかがハッキリと伝わってくるため、安心して信頼を寄せることができます。

収録されている問題や解説の質も、非常に高いです。
そこには一本のブレない筋があります。
このように「筋が通っている」からこそ、改訂せずとも、ロングセラーのテキストとして残り続けているのだと思います。

熱のこもった前置きとなりましたが、いったんこの辺にして、レビューを始めていきます。

推奨レベルは?

どんなレベルであっても大丈夫です

300点台の人でも、900点台の人でも、このテキストはオススメできます。
とくに文法に不安を感じている人には強く勧めたいです。

僕がこのテキストを使い始めたのは、TOEIC990点を取得してからです。
世間的には「TOEIC満点」というと、何でも知っているみたいに思われがちですが、まったくそんなことはありません。

僕の場合は、TOEIC満点といっても、文法セクションが95%だったこともあったので尚更です。文法問題は正解しやすく、100%も出やすいところですから、そこで95%を取ってしまうということは、どこか自分の気づいていないところに穴があったはずなのです。

「文法問題を完璧にしないと、TOEIC満点を取り続けるのは難しい」と考えて、僕はこのテキストを購入しました。

得るものは多かったです。
新しいことをいくつも学びましたし、思わず膝をたたくような解説にはアンダーラインを引きました。マーカーした箇所は、かなりたくさんあります。
たとえ文法セクションが100%取れているとしても、なにか新しいことが学べるはずです。

このテキストは、生徒さんにも何人かにオススメし、実際に使ってもらったことがありますので、次は「使い方」について触れていきます。

文法を強化したいとお考えなら、ぜひ使ってみてください。

どう使う?

「解く+解説を読む」で十分

このテキストは、解説がとても丁寧です。
また、正解の根拠についてはもちろんのこと、誤答の選択肢がなぜダメなのかにも触れているので、より正解の根拠が理解しやすくなります。
親切なテキストですから、基本的には「解く+解説を読む」という使い方で大丈夫です。

また、どんなテキストにも言えることですが、「何度も繰り返す」ことが大事です。
持っているスコアによって繰り返すべき回数が変わってくるので、そこは具体的な例も交えながら話を進めていきます。

まず僕自身の例からですが、僕はこのテキストを「2周」しました。
TOEIC990点の状態からの「2周」でしたが、これで十分だったと思います。
TOEIC900点以上を持っているとか、文法セクションがいつも90%以上は取れているというレベル帯であれば、「2周~3周」でかなり定着するはずです。
上級者向けのテキストなら話は別ですが、このテキストはあらゆるレベル帯の人に向けたテキストなので、高得点者ほど、繰り返す回数は少なくて済みます。

では、400点~600点レベルはどうでしょう。
僕はそのあたりのスコア帯の生徒さん何名かに、このテキストをお勧めして、実際に使ってもらったことがあります。
そして、現時点での結論としては、「4周以上」は繰り返しておきたいということです。

ただ、1つ注意しなければいけないのが、このテキストを使う「期間」です。
「4周」繰り返すといっても、1ヵ月で4周するみたいに短期集中でガーッとやるのと、2ヵ月で4周するみたいに休みを入れながら繰り返すのでは、定着度も変わってくるはずです。

生徒さんに使ってもらった感覚と、自分が普段から勉強している感覚から推測すると、たぶん「休みを入れながら」繰り返すほうが、定着していくと思います。

というのも、「忘れる」ための期間も、勉強には必要だからです。
1ヵ月で4周するのは、一見すると密度が濃くて、「短期集中」という感じもしますが、1週間で1周もやっていたら、どこかで飽きが来て、作業的な要素が強くなります。
テストまで時間がないという場合であれば、短期集中するしかありませんが、時間があるのであれば、敢えて忘れるために、テキストをやらない期間を設けることも効果的です。

それから解くときには、間違えた問題には付箋を貼るなどしてマークをつけておきましょう。
そのとき解けなかった問題が、次に解けるようになっていたら「成長」です。
また、正解の根拠まで言えるようになって初めて「定着」ですので、自分で解説できるかどうかも確認してみてください。

繰り返すことが大事です
忘れるための期間を設けるのも効果的です

 

内容はどんな感じ?

レベルごとの3部構成

その3部構成の内訳はこうです。

「まずは550点」 ― 42問
「しっかり730点」 ― 46問
「目指せ! 900点超え」 ― 30問

このようにレベルごとに分かれてはいますが、どのレベルの問題もマストで解いておきたいものです。

「自分はまだ500点だから、730点レベルのは解かなくていい」みたいに思う必要はまったくありません。むしろ解いたほうがいいです。
たしかに730点や900点のセクションはレベルは高めですが、TOEIC500点や600点を取るために必要なことがたくさん載っています。

解説も丁寧なので、ご自身のスコアを気にすることなく、1冊すべて使い切ってください。

このテキストに収録されている問題は約120問ほどですが、このすべてを自分で解説できるようになったら、TOEICに出てくる文法は大丈夫です。

1問もムダな問題がなく、必要なことが網羅されていますので、基礎を作りたい方から文法を完成させたい方まで、あらゆる人が使えるテキストです。

レベルは気にせず、1冊使い切ろう

 

まとめ

オススメ度|★★★★★(満点)

新TOEIC TEST 文法 特急』は、文法というポイントだけにフォーカスしているにも関わらず、あらゆるレベルの人に対応している素晴らしいテキストです。

また、10年以上も改訂を必要とせず、TOEIC対策本としてロングセラーを維持していることからも、このテキストの良さが窺い知れます。

「文法に関して、なにか手を打ちたい」と考えているのであれば、ぜひ使っていただきたいテキストです。
ボリュームがコンパクトなので、取り掛かりやすいと思います。
でも、そのコンパクトな見た目からは想像できない「広さと深さ」を持っています。

TOEICをこれから始めていくのであれば、まずはこの『新TOEIC TEST 文法 特急』を使って、TOEICに必要な文法をすべて押さえてしまうことをオススメします。

あれこれテキストを買ってしまうよりも、本当に優れた1冊を使い込むほうが良いですからね。

それでは以上、『新TOEIC TEST 文法 特急』のレビュー記事でした。
テキスト選びの参考にしていただければ幸いです。

ご覧いただき、ありがとうございました。