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マンツーマンTOEIC対策のリノキア英語スクールです。

今回ご紹介するテキストは『公式TOEIC Listening&Reading プラクティス リスニング編』です。

このテキストは2020年8月に出版されました。

まだ比較的新しい部類に入るテキストです。姉妹版の『リーディング編』と同時発売されましたが、発売当時はそこまでの盛り上がりはなかったと記憶しています(ちなみにリーディング編のレビューはこちら)。

実際、僕がこのテキストを購入したのは2021年4月のことで、発売から8ヵ月も経っているのですが、奥付は「第1刷」のままでした。つまり重版になっていないということですね。

大きめの本屋さんでは平積みになっていることが多く、わりと大々的に紹介されているのですが、やっぱり『公式問題集』ほどの人気ではなさそうです。

前出の『リーディング編』に続いて、今回の『リスニング編』も使ってみましたので、レビューを書いていきたいと思います。あくまで個人の感想によるものですので、ご参考程度にお読みください。

テキストの構成と収録問題数

大きく分けて、3つのステップで構成されています。

Step1 ユニット学習:全20ユニットから成り、Part1~4まで学習できます。

Step2 ミニテスト:リスニングテストの簡易版です。フルだと100問のところ、ミニテストは31問となっており、合計で4セットあります。

Step3 ファイナルテスト:試験本番と同じ、100問のフルテストです。1セットだけ入っています。

最初のユニット学習で各Partの特徴を学び、練習をしてから、ミニテスト→ファイナルテストという流れで問題演習をしていく構成です。

続いて収録問題数です。

・ユニット学習(Unit1~20合計):109問
・ミニテスト:124問
・ファイナルテスト:100問

合計333問が1冊のテキストに収録されていることになります。

公式問題集と比べたら多いです。

しかし採用している問題がすこし古い(少なくとも2020年に発売されるテキスト用に新しく作られたものではない)ので、現行の公開テストで耳にするナレーターと僅かに差異があります。

細かいことかもしれませんが、気になる点であることは確かです。

せっかく新しいテキストを出すのですから、そこはきちんとしてほしいですよね。手抜きしているのではないかと勘繰ってしまいます。

ユニット学習のレビュー

パート1

気になった点1

テキスト全体を通して言えることですが、ナレーターをしっかり選んでほしい

ウォームアップやプラクティスは予行演習という感じで、ナレーターもゆっくりめで読んでくれます。公式のナレーターではないのが残念

ただ、本番と同じように問題を解くチャレンジからは公式のナレーターです。つまり公開テストで耳にするのと同じ声で読まれます。

ナレーターについて細かいことなのですが、現在はすでに引退(?)したオーストラリア男性のナレーターがいました。現在のテストで耳にすることがない声なので、さすがにこれは省いてほしかったです。古いままのナレーターを使っていることで手抜き感が否めません。

現役のオーストラリア男性の声も収録されていたことが救いでしょうか。とはいえ新しいテキストなのだから、現役ナレーターで統一するのが普通なんですけどねえ。

気になった点2

Unit2の意図が不明

Unit2のウォームアップ・プラクティスでは、指定された単語を使って、写真の説明文を作るコーナーが含まれています。

つまりパート1の選択肢の英文を自分で作るわけです。これは初心者には相当ハードルが高い!

しかも解答に多様性が出るのが明白でありながら模範解答が1つしかないので、どのように答え合わせをすればいいのか分からず、初心者は取り残されてしまいます。

自分の出した答えが正しいのか惜しいのかを確認できず、モヤっとしたまま模範解答の英文を書き写すことになるでしょう。

いったい何をさせたいのかがまったく分かりません。

並び替え問題にするとか、作ってほしい英文の和訳を提示しておくとか、もうすこしヒントがないと学習者は困ってしまいます。

こういうところが残念なんですよねえ。

気になった点3

リピート自体はいいのだけれども、いきなりは難易度が高い

ウォームアップの最後には、聞いた英文をリピートする課題がついています。聞いた音を繰り返すのがリピートなわけですが、これは見た目以上にずっと難しい作業です。

リスニング200~300点の人がやろうとすると、ほぼ100%上手くいきません。知らない単語があり、聞き取れない音もあるので、いきなり音だけを頼りにするのはハードルが高すぎるのです。

リピートする前に、かならず「読んで意味が分かるか」を確認しましょう。読んでも分からないものは聞いても分かりません。

読んで意味が分かるようになったら、自分で何度か音読してみてください。

それから音を聞いてリピートしていきましょう。ただ、最初のうちは文字を見ながらリピートしてください。簡単すぎるかも、、、というレベルから定着させていかないと基礎が疎かになります。

文字を見ながらリピートできるようになったら、徐々に文字を見ないでリピートするようにしていきましょう。リピート自体はすばらしい勉強法なので、挫折しないようなステップを踏んで完成させていくのが良いです。

パート1の結論

・ウォームアップではリピートできるようになることをゴールにするのがオススメ

・リピート以外、ウォームアップとプラクティスでやるべきことはない

・チャレンジで問題を解き、リピートできるように復習していくのが良し

続いてパート2です。

パート2

良いところ1

すべての問題パターンの練習ができる

パート1でのダメ構成がウソであるかのように、パート2は非常に使えます。

疑問詞を聞き取る練習から始まり、定番の疑問文に加えて付加疑問文、否定疑問文、さらには平叙文まで網羅しているというパーフェクトな構成です。

ウォームアップやプラクティスでは各テーマをしっかり練習できるし、同じ英文をいろいろなスタイルで聞ける構成になっているのもグッドです。

復習コーナーとしてパート1同様にリピートがありますが、これも最初は文字を見ながら取り組むのがいいです。ものによっては英文がけっこう長かったり固有名詞が入っているので、いきなり音だけでリピートするのは難しいでしょう。

良いところ2

穴埋めディクテーションができる

ディクテーションとは、聞いた音を文字として書き取る勉強法です。

聞こえる音を増やすのにうってつけの勉強法ですが、パート2のところでは一貫してディクテーション演習が取り入れられています。

最初は疑問詞1つを書き取るところから始まり、だんだん穴埋めの数が増えていきます。

英文が完成したら、和訳できるかを確認してみましょう。疑問文はちょっと複雑になる場合もありますので、なぜその形になるのか理解できているかどうかが大事です。

文構造の解説はありませんので、分からないところは自分で調べるしかありません。

また、書き取らせる単語もけっこう容赦ないです。基本的な単語力があったほうがスムーズにできます。

単語力の目安としては、『銀のフレーズ』のNo.1-700まで覚えているレベル、あるいは『キクタンTOEIC500』がだいたい分かるレベルです。このくらいの語彙力があれば、ディクテーション学習もより効果的になるでしょう。

パート2の結論

・パート2で出てくる問題パターンをすべて網羅している

・ディクテーションやリピーティングで効果的な学習ができる

・文法力・単語力が必要とされる場合がある

続いてパート3です。

パート3

良いところ1

穴埋めディクテーションができる

パート3すべてのUnitを通してではありませんが、ほとんどのUnitで穴埋めディクテーションが用意されています。

また、その後には内容理解を日本語でチェックする箇所もあります。ディクテーションのスクリプトが上に載っているので、読みながら内容をチェックできるのが良いです。

やっぱり聞くだけで分かるってのはレベルが高いですからね。読んで意味が分かることも非常に大事です。

良いところ2

キーワードが聞こえたかのチェックボックスがある

ほとんどのUnitのプラクティスで、キーワードが聞こえたかのチェックボックスが用意されています。以下のような感じです。

□ bakery  □ express delivery  □ discount

パート3の会話文を聞いて、キーワードが聞こえたらチェックを入れるという仕組みです。

キーワードを拾って解く問題が多いパート3において、この練習はとても大事です。チェックボックスが用意されていることで、確認しやすいですね。

良いところ3

セリフの意図問題・3人スピーカー問題・グラフィック問題にも1ユニットずつ用意されている

上記の3タイプは、新形式TOEICから加わった新しい問題です。

それぞれにおいて問題形式を理解しながら実践問題で練習できるので、新形式TOEICを知らない人には有益です。知っている人にとっては特に思うところは無いかもしれません。

ちょっと細かい話ですが、3人スピーカーのUnitのウォームアップで、スピーカーたちが恋人関係である会話文が出てくるのですが、TOEICに恋愛は出てきませんので、ちょっとズレているなと思いました。誰に作らせたんだろう??

依然として今は登場しないオーストラリア男性のナレーターが登場しまくりなのですが、最後のグラフィック問題だけは新しいオーストラリア男性と新しいイギリス女性が出ています。2020年のテキストなのだから、それに対応したナレーターで統一してくれればよかったのに(しつこい)。

気になった点1

復習法や勉強法の手引きが皆無

あらゆる問題パターンを網羅できているので、形式を知るためだったり、問題慣れするのには向いています。

しかし問題を解いた後、どのように復習するかという勉強法の指南がいっさいありません。

これだと「問題を解いて答え合わせをして終わり!」になる可能性があります。

パート1・2では復習としてリピートがあっただけに、パート3でも何か用意してくれていても良かったのかなと思います。

個人的には「音読」や「オーバーラッピング」が取り組みやすいと思います。ただし、必ずスクリプトを読んでみて、意味が分かるかどうかを確認してからが良いです。意味のわからない状態で音読したりしても、喉のトレーニングにしかなりませんからね。

パート3の結論

・リスニングの練習がしやすい構成になっている

・すべての問題パターンが網羅されている

・復習法は載っていないので自分で考える必要がある

最後はパート4です。

パート4

良いところ1

ディクテーションやキーワードのチェックなど、パート3にあったグッドポイントが継続している

ディクテーションは独特の作業性があり、積極的に聞こうとする姿勢が育まれます。ただ聞き流すだけをリスニングの勉強(そもそも勉強と呼べるほどのものじゃないですが)としてやってきた人にとっては楽しいと感じるかもしれません。

聞き取りたいという気持ちと、実際に聞き取れた時の喜びを感じることで、リスニングの勉強が楽しくなっていきます。

聞こえたキーワードをチェックする練習にも同じ効果があると思います。

ほどよい難易度と、できた時の達成感があるのは、いいテキストの条件ですね。

気になった点1

自分のレベルに合わせて取り組み方を考える必要がある(とくに記述式のところ)

パート4のUnitでは、英文を聞いた後に「問題として挙げられていることは何ですか?」や「今後の話の流れを予想して書いてみましょう」など、記述式で書かせるところが多くなっています。

TOEIC600点くらいまでの方だと、1回聞いただけでは答えが欠けないと思います。3~5回とか、あるいはそれ以上くりかえして聞くことが前提となります。また、記述式であるがゆえ、なかなか模範解答どおりに書けず、それがストレスになることもあるでしょう。

そして何よりも、TOEIC350点~500点あたりの人にとって、ここまで突っ込んだ理解を試すタスクは難しすぎます。時間をかけたわりに達成感が得られず、モチベーションを低下させる可能性があります。根気が要りますから、無理にやらなくてもいいと思います。

このテキストを使う場合には、自分にはどのくらいのタスクがこなせるのか見極める必要があります。すべてのタスクをやる必要があるとは思いません。できるところから取り組んでいくのがいいと思います。

パート4の結論

・基本的にはパート3と同じ

・記述式は難しいので、人によっては飛ばしてOK

・ディクテーションやキーワードチェックは効果的

ミニテスト・ファイナルテスト

問題演習がたくさん積めるのは良いです。しかしナレーターが……残念!

やっぱり最後までオーストラリア男性は古いままでしたね。

イギリス女性も1人だけです(現行のテストでは2人登場します)。

『公式問題集7』や『公式問題集6』と同じナレーター陣にしてくれたら文句はありません。

というか発売時期的に、そうしないとおかしいです。

なんで2017年以前に発売された公式問題集と同じナレーター陣にしてしまったのか。『プラクティス リスニング編』は2020年に発売のテキストなんですよ!

制作陣にそこに気がつく人はいなかったのでしょうか……。

まとめ

オススメ度:★★★☆☆(わざわざ買うほどではない)

すでにTOEICの問題形式を知っている人は、あえてこのテキストに手を出す意義はないかもしれません。

もしオススメできる人がいるとしたら、リスニングの問題パターンについて知っておきたい人になりますでしょうか。だとしても強くはオススメしません。リーディングもセットになっている『公式問題集』のほうが断然オススメです。

今回『プラクティス リスニング編』を使ってみましたが、このテキストがなぜ生まれたのか、ちょっとよく分かりませんでした。

いったい何を目指したテキストだったのだろう?

『リーディング編』同様に、宣伝文句ではTOEICスコア350~700点の方におすすめとありますが、350点あたりだと確実に難しすぎます。かといって700点レベルの人が使ってどこを目指すのか、そこが不明です。

もし800点を狙うのであれば、『プラクティス』ではなくて他のテキストのほうが適任といえます。宣伝文句ではもっともらしいことを書いていますが、中身が伴っていない感がどうしても拭えません。

言葉は悪いですが、IIBCは大人しく『公式問題集』だけに専念したほうが良かったのです! ちょっと前に単語集も出していましたが、あれも微妙な感じでした。

『プラクティス』は1冊3300円もしますから、決して安くはありません。無駄な買い物をしてほしくないので断言しますが、『プラクティス』よりは『公式問題集』を買ったほうが100%有益です!

前回の『リーディング編』に続いて酷評するような内容が続いてしまって残念ではありますが、テキスト選びの参考になれば幸いです。ただ、あくまで個人の感想となりますので、書店などで実際に目を通してみることをオススメします。

それでは最後までご覧いただき、ありがとうございました。