結論:使えます!

マンツーマンTOEIC対策のリノキア英語スクールです。

今回は『公式TOEIC Listening & Reading 650+』をレビューしていきます。

このテキストは2023年8月に発売されました。

公式問題集ほどではありませんが、公式教材ということで発売前にはSNSなどで多少の話題になりました。目標スコアがピンポイントで「650」とあります。このシリーズは他にも「500」と「800」があります。

さて、この『650+』というTOEIC公式教材は使えるのか、それとも使えないのか - それをTOEIC990点講師の視点でレビューをしていこうと思います。

購入を検討されている方の役に立つよう書いていきますので、ぜひご覧ください!

テキストは3部構成-各セクションを紹介

テキストはSection1~3の構成です。

Section1:TOEICの各パートの解説
Section2:各パートの練習問題
Section3:200問の実戦模試

Section1ではTOEICの各パートの形式の説明があり、例題で練習できるようになっていますが、TOEICを何度か受験したことがある人なら知っていることばかりなので、あまり役に立たないかもしれません。TOEICを初めて受験する or 久しぶりに受験するといったビギナー層をターゲットにしているようです。

ただし、例題の解説はかなり上級者向けです。詳しく書かれているのは良いのですが、650点を目指すような初中級者が読んで果たして納得できるのか・・・それは疑問でした。

Section2は「必答140問 演習」という名前です。これだけ見たら問題が140あるように見えますが、実際は262問も収録されています。大問が140問ということで、小問に換算すると262問(リスニング136問、リーディング126問)です。実際のTOEICがリスニング100問、リーディング100問なので、ボリュームはなかなかのものと言えるでしょう。

問題の難易度はやや高めです。したがってTOEIC400点~500点前半の人にとっては難しすぎると感じるかもしれません。ですが最終的に650点を超えるためには正解できるようにならないといけないレベルなので、あまり気にせずに取り組んで大丈夫です。問題の質も良いです。

解説は公式問題集よりも丁寧です。しかし、だからといって良いというわけでもありません。Section1でもそうでしたが、ある程度の英語の理解がある状態でないと、読んでも分からない解説となっています。個人的な感覚なのですが、リーディングが100~200点台だと苦労するかもしれません。分からないところを調べたり、人に聞いたりできれば問題ないのですが・・・。

パート2だけ復習の手引きがあります。「リピート」(あるいはリピーティング)という勉強法を実践できるようになっているのですが、これが非常に効果的なので、ぜひ身につけてほしいです。他のパートにも同じような復習しやすい工夫があれば最高でしたが、もう一歩足りないのが公式教材の常なんですよね。

パート6,7は、解説ページに英文が載っておらず、英文と和訳を見比べたいときはページをパタパタと行ったり来たりしないといけません。これはちょっと面倒です。どうして英文と和文を同じページ見られるようにしてくれなかったんだ! 公式教材を手放しで褒められないのはこういうところなんです。

Section3は本番形式の200問の模試です。Section2でやってきたことを実戦演習します。

これをどう使うかは個人によるところですが、Section2と同じように練習問題として解いてOKだと思います。模試だから大事に使いたい気持ちもわかりますが、解くのを先延ばしにしても良いことはありません。Section2が終わったらすぐに解いて、念入りに復習しましょう。

どう使うのがおすすめ?

TOEIC650点を目標にすることを謳っていますが、いたって普通の問題集です。なので問題演習+復習がベーシックな使用法になります。

とは言え、問題を解いて丸つけするのは誰でもできますから、勉強の成果の違いを生むのは「復習」のほうです。いかに復習するかによって得られる結果は大きく変わります。

では早速、多くの方のTOEICレッスンを担当している990点講師の視点から、役立つ復習法を紹介したいと思います。

1.知らない単語を覚えよう:単語を増やさずにスコアアップすることはありません。逆を返せば単語を増やせばスコアアップの可能性がグッと高まります。手っ取り早くスコアアップを目指すのであれば単語をとにかく増やしてください。

2.正しい発音で音読しよう:音読はリスニング・リーディング両方において効果のある勉強法です。スラスラ音読できるようになると、聞いたり読んだりしたときの理解度がだんだんと高まります。注意点は2つあって、1つは「正しい発音で」音読すること。もう1つは「意味の分かる英文を」音読すること。たまに音声も聞きながら、何度も音読しましょう。

3.同じ英文を何度も見よう:たとえ答えを覚えてしまっても同じ英文を何度も読みましょう。TOEIC高得点者が初見の英語でも理解できるのは、過去に似たような英語を経験したことがあるからです。黙読でもいいし、音読でもいいし、書き写したっていいです。いろいろな方法で同じ英文を何度も経験しておきましょう。

4.知らない文法を覚えよう:単語を知っていても文法が分からないと理解できない場合もあります。もし文法が原因で理解できていないと思ったら、必ず調べるようにしましょう。Googleで検索すれば答えは簡単に見つかることが多いです。もしそれでも分からなければ人に聞いたりSNSで質問を投稿してみましょう。答えてくれる人は必ずいます。

以上4点がおすすめの学習法です。とても基本的なことですが、間違いなく効果はあります。

・このテキストは〈問題演習+復習〉でOK!
・大事なのは復習!
・どう復習するかで得られる成果は変わる!

これ1冊で650点が取れるのか?

1冊のテキストだけを使ってスコアアップを狙うのは理想的ではないですが、もしどうしても1冊しか準備できなくて、この『650+』だけでどうにか650点を達成したいという場合、果たしてそれは可能なのか?

A. 可能です

推測の域を出ませんが、十分に可能だと思います。「これ1冊で650点を取りたいんです」という依頼があれば、迷わずに受けられるくらいの確信はあります。もし現在のTOEICスコアが530点くらいだったら、まったく問題ないでしょう。450点以下だとちょっと苦戦しそうですが。

TOEICに出てくる必須単語のほとんどは問題に出ていますし、問題量も多いですし、音声もありますから、これ1冊でしっかり勉強できます。文法だけはGoogleなどで調べる必要があるかもしれませんが、無料でできるので問題ないでしょう。あとは自分で単語帳を作ると暗記作業がはかどるかもしれません。

どんなテキストにも言えることですが、要は「使い方」なんですよね。

まずはこの1冊からスタートしてみて、自分に足りないところが見えてきたら、特化したテキストを買い足してるという進路も良さそうです。勉強するのが久しぶりという人は、気合を入れてテキストをたくさん買いがちなので、まずは1冊「きみに決めた!」と思い切って使ってみるのがいいでしょう。

スタートのテキストとして、この『公式TOEIC Listening&Reading 650+』は信頼できると言えます。

総合評価

オススメ度:★★★★☆(かなり良いテキスト)

現在のスコアが450~550点の人にとくにオススメできます。ただ、450点を下回っている場合でも使えないことはないので安心して買って大丈夫です。その場合は単語がネックになっていることが多いので、『銀のフレーズ』のような初級者向けの単語帳も一緒に揃えておくことを推奨します。

CDが付いていますが、音声は「abceed」というアプリで聞けます。倍速を変えたり、3秒戻したりと細かい機能もついているのでアプリのほうが使いやすいです。

☆を1つ減らしているのは文法解説がちょっと難しめだからです。650点を目標にするのは400~500点あたりの位置にいる人たちなので、その方たちを想定して解説を書いてほしかったというのが正直な気持ちです。

上でも書きましたが、しっかりやり込めば1冊だけでスコアアップが狙える内容です。そこは間違いありませんので、テキストを信じて勉強していきましょう。

今回の記事が、テキスト選びの助けとなれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!