素晴らしい単語集

ご覧いただき、ありがとうございます。
TOEIC対策のリノキア英語スクールです。

今回ご紹介するのは、『キクタン TOEIC L&Rテスト SCORE500』です。

タイトルから分かるとおり、TOEIC500点を目指す人のための単語集です。

見出し語になっているのは448語 ― そのほとんどがTOEIC必須の単語・熟語となっており、結論から言ってしまえば、初心者向けとしては素晴らしいテキストです。

今回はそんな『キクタン TOEIC L&Rテスト SCORE500』について、良いところと惜しいところを交えて紹介していきますので、テキスト選びの参考にしていただければと思います。

キクタン500の良いところ

1.忖度なしの重要単語ばかり

まずは何といってもここでしょう。単語集の価値を決めるのは、どんな単語を収録しているかです。TOEIC用と謳いつつ、TOEICに出ない単語を平気で載せている単語集はいくつもありますから、その点において『キクタン500』は信頼できます。

とりわけ良かったのは、TOEIC500点を目標としつつも、簡単すぎる単語を収録していない点でした。

これが「忖度なし」と表現した理由でもあります。見出し語が448語「しか」ないため、どの単語を載せるか選ぶのは相当大変だったと思います。

それでも最終的には、TOEIC500点を目指すためなら覚えて価値のある単語ばかりが並んでいます。こういう選択をするには、基本的すぎる語句を切り捨てなければなりません。

同じTOEIC初心者用の単語集としては『銀のフレーズ』が有名ですが、あちらは見出し語が1000語もあるため、最初の400語ほどは非常に基本的な単語に充てることができています。どのくらい基本的かと言うと、その単語を知らなかったらTOEICの英語は読めないというレベルです。

一方、『キクタン500』では、そうした基礎的すぎる単語を排除し、TOEIC500点を目指す人がちょうど知らないところを上手に突いていると思います。

すでに300点とか400点をお持ちであれば、『キクタン500』を使ったほうが手早く単語力を伸ばすことができるのではないでしょうか。

2.書きながら覚えていけるスタイル

単語や例文を書けるように設計されている点は、個人的に好きです。Amazonから画像を持ってきたので、ご覧ください。

上は、見開きにしたときの左側のページです。
下が右側のページになります。

このように、単語とフレーズを書いて覚えられるようにできているのです。音声も使えば、ディクテーションをしながらの単語学習が可能となります。

さらに次のページです。

上が見開きの左ページ、下が右ページです。フレーズだけでなく、例文もしっかりと用意してあります。

例文もまた、書きながら勉強できる仕様です。見る・聞く・音読するに加えて「書く」という動作が入れられるので、これを使わない手はありません。

3.イディオムも収録

単語集でありながら、イディオムも載せてくれているのは助かります。

out of stock「在庫切れである」、apply for ~「~に申し込む」など、イディオムで知っていないと意味が取れないものって結構あるのですが、親切にも頻出どころが厳選されています。

TOEIC初心者の場合、stock=在庫、apply=申し込むといった単発での暗記になってしまいがちで、out of stockやapply forで出てきたときに応用が利かないという傾向があります。

そこを見越してなのか、stock, applyといった単語を羅列するのではなく、フレーズで覚えてしまったほうが効率的なものは、きちんとフレーズで載せてくれています。

スコアアップを考えた造りとなっている点には本当に感服ですね。

それから品詞ごとにカテゴライズされているのも良いです。やはり初心者ほど品詞を意識せずに覚えてしまうので、無意識にでも品詞に目が向くような構成になっているのはお見事です。

惜しいところ

1.和訳が微妙なものが少々ある

TOEICにはTOEICの特徴があります。たとえば、同じ「notice」という単語でも、受験英語であれば「気づく」という意味で覚えておくべきだし、TOEICであれば「お知らせ」で覚えておくべきであるように、テストごとに適した訳し方があります。

「キクタン500」には、単語のチョイスは良いのに和訳のチョイスが微妙というものがいくつかあり、そこが惜しい点だと感じました。

例えば「representative」という単語。皆さんはどんな意味で覚えているでしょうか。『キクタン500』での和訳は「代理人」となっていました。正直なところ、representativeを「代理人」という意味で使用する場面は、TOEICにはそこまで出ないと思います。

僕だったら「担当者」という訳で覚えてもらいたいです。もちろん代理人という訳で知っておくのも大事ですが、TOEIC500点という目標であれば、1単語につき1つの意味を覚えるだけでも十分です。そしてせっかく意味を覚えるのであれば、TOEICにドンピシャの意味で覚えていきたいですよね。

他にも、supervisor「監督者」、rate「率」、payroll「従業員名簿」などがありましたが、僕だったらそれぞれ「上司」、「料金」、「給与」という意味で覚えてほしいです。

せっかくいい単語を選んでいるので、意味もTOEICに出るものを選んでほしかったという感じです。とはいえ、そうした訳語が気になった単語はごく少数です。

2.本当にTOEIC500点に必要かな? というものが含まれている

これも細かい指摘になります。『キクタン500』が素晴らしい単語集であるが故、完璧を求めてしまっているとも言えます。

たとえば、「curb」という単語。訳は「~を抑制する」で載ってしました。

ただこの単語、TOEICで見るかなあ。ここ3年ほど公開テストを毎回受けてきましたが、curbという単語はあまり印象に残っていません。仮に出ていたとしても、TOEIC500点を目指す人が必須で覚えてほしい単語には入らないと思います。

他にも、excursion「遠足」、itemize「~を項目に分ける」、fine「罰金」など、そこまで重要じゃない単語が気になってしまいました。せっかく448語しか見出し語を設定していないのだから、極限まで厳選してほしかった!

さらに細かいことを挙げると、addressという単語が「~に演説する」という意味で載っており、そこですでに「何でだよ~」と悶絶してしまうのですが、あろうことかaddressはパート1での重要単語とされているのです。

旧形式のTOEICを引きずっているのでしょうか。

新形式になってから、パート1で「演説する」という意味のaddressが使われていたことなんてあったのかなあ。本当に細かいところですけれども、完璧に近い単語集なので、いっそのこと非の打ち所がないくらい完璧に仕上げてほしかった!

最後の詰めって、やっぱりデータだけでは不足しますよね。TOEICを受けた人の肌感覚とか、TOEICを教えている人の経験値などを取り入れてこそ、受験者にとってパーフェクトなものが生まれるのだと思います。『キクタン500』にはそこを補ってほしいですね。

まとめ

オススメ度:★★★★★(満点!)

『キクタン500』は素晴らしい単語集です。

初心者用の単語集ですが、決して学習者を甘やかすことなく、TOEICに必須の単語をしっかりと教えてくれます。たとえ『キクタン500』に載っている単語が知らないものばかりだとしても、歯を食いしばって最後までやり遂げてほしいです。

これは断言できますが、『キクタン500』に載っている単語は、絶対に本番のTOEICでも目にします。しっかりやった人ほど、「あっ、あの時やった単語が出てる」と思うはずです。そうなればTOEICの勉強がもっと楽しくなっていくことでしょう。

これからTOEIC500点や600点を目指していくとして、単語集をどれにすればいいか迷っている方がいましたら、ぜひ『キクタン500』を使ってみてください。

ライバルとなる『銀のフレーズ』もありますが、どちらを取るかは完全に好みです。

ただ、個人的な感想を言えば、『キクタン500』のほうがスコアには直結しそうな感じがします(あくまで印象なので、書店で見比べてみてください)。

最後に、どんなに優れたテキストでも、何回も繰り返して身につけなければ意味はありません。選んだ1冊を信じて、じっくりと取り組んでいってください。

それではご覧いただき、ありがとうございました。今回のレビュー記事が、皆さまのテキスト選びの参考になれば幸いです。